東京・ベルリン|ベルリン・東京

ドイツ, ベルリン, 2006

2006年1月から5月まで東京の森美術館での展示後、展覧会<ベルリン-東京/東京-ベルリン>はベルリンにある新国立美術館に場所を移した。この展覧会では東京とベルリンという、似て非なる街同士の文化的対話が詳細に記録されている。入館するとまず、来訪者は地下に展示されている過去150年に亘る圧倒的密度のベルリンと東京の文化交流史に遭遇する。門外不出の貴重なアートワークを含む、絵画、建築、グラフィック、写真、ビデオ、パフォーマンスなど530余りの作品群は、年代順に5000m2の地下室に余すところなく展示されている。
我々のデザインによる地上階展示場では、地下展示場の高密度とは対照的に、たった十数名の現代アーティストの作品によって今日のベルリン・東京の様々な関係が展示される。
1968年に完成した新国立美術館は、ミース・ファン・デル・ローエ作品の中で最もモダニストの理想が実現された作品であると言えるだろう。果てしなく広がるユークリッド的空間から切り取られた完璧な正方形と外界の間には透明なガラスの境界があるのみである。無限と思える空間の均質な透明性は、この美術館に潜在する可能性である。一方で、床と天井のデカルト・グリッドは空間を計り知れない存在感で圧倒する。空間を支配するかのようなグリッドに従って、あるいはそれに対抗して壁を作るのではなく我々はグリッドを参加者全員が空間デザインに携わることを可能にする緩やかな枠組みとしてとらえた。従って展示空間は一個人の独断によるトップダウンのデザインではない。デザイン初期段階から重ねられたアーティスト、キュレーター、建築家による緊密な協議の中で、ミースのデカルト的グリッドは徐々に、波打つランドスケープへと生成されていった。こうして、ミースの絶対的空間は流動的、相対的な展覧空間へと溶解していくのである。
展覧会場を訪れた人々は、マウンドの連なるランドスケープとなった展示空間を自由に歩き回る。決められた順路はなく、来訪者一人ひとりの目前に無数の予期せぬ発見や出会いが展開する。うねるマウンドを登ったり下ったり歩き回ることで見る者のアートワークに対する認識は流動的に変化し、来訪者達はベルリンと東京の多様な関係を限りなく発見する。
FB, 2006, 東京&ベルリンにて

 

ドイツ, ベルリン, 2006

Type

展示施設, 美術館・博物館

Status

竣工

Team

伊東豊雄, クリストフ セラリウス, フロリアン ブッシュ

施主: Neue Nationalgalerie, Staatliche Museen zu Berlin

施工: PERI GmbH, Niederlassung Berlin

Size

1,349 m²

Structure

木造

(three layers of floorboards on CNC-milled MDF frames)

東京・ベルリン|ベルリン・東京
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